指導者ではなく教育者
どうも、トレーナーです。
最近バスケットボール、バレー、ラグビーなど、様々な競技のワールドカップが開催されていますね。
「チーム日本」で頑張っている中、選手はもちろん、それを束ねている監督さんの努力と労力は想像を超えるものではないでしょうか。
今回はトレーナーが「監督」だったときの話です。
高校バスケットボールの監督…と言えば聞こえは良いですが、いわゆる顧問です。
2017年夏、毎年行われている中西讃地区の準公式戦がありました。
この準公式戦、1日目は4つのブロックに分かれてのトーナメント戦またはリーグ戦で行われ、各ブロックごとの1位が2日目に進みます。
簡単に言うと、1日目で必ず強いチームと当たる、戦える仕組みです。
中西讃地区にはNBAプレイヤーを輩出し、全国準優勝したあの高校があります。7年間顧問を勤めましたが当たったことがありませんでした。この大会を指揮するのは最後でしたし、どうせならそこと当たりたいと思っていました。
…見事当たることになりました。
とは言ったものの、力の差は歴然。部員のモチベーションをいかに上げるか、ということを考えた結果、部員には
次の大会は全国大会やからな!全国行くチームと当たるんやから。
と、呼びかけました。
素直な部員ばかりだったので、モチベーションを保ったまま、試合を迎えることができました。
自分としても一つ目標を設定しました。
それは相手の監督さんに、タイムアウト(試合を中断して作戦などを練る時間)を取らせることでした。
毎年この大会の1日目は、相手の監督さんは全く動かないことで有名でした。対戦相手がタイムアウトを取った時も、監督さんは動かず座ったまま。生徒が生徒同士集まって話し合っているという状況を自分も見てきました。
なので、相手チームを少しでも困らせて、タイムアウトを取らないといけない状況を作り上げる、それが「監督」としての目標でした。このことは部員にも話していました。
丸腰で臨むわけにも当然いかないので、作戦を練り、いざ始まりましたが…いや、強い!!
歯が立たないとはこのことかと思いながら、前半の早い段階から、目標は「1試合やり遂げること」に変わりつつありました。
…ちょうどそう思いかけていたときです。
相手の監督さんがタイムアウトを取ったのは。
えー?!!と思いながら、
おい、タイムアウト取ったで!
と、思わず部員にも言ってしまう始末(笑)
タイムアウトがなぜ取られたか理由もわからないまま、後半へ。
するともう一回相手チームのタイムアウトの笛が。
もちろんこちらはその倍タイムアウトを取りましたが、目標をクリアしてしまいました。
しかし、終わってみれば、22対224。
バスケットに詳しい人もそうでない人も、こちらの大敗ということは分かりますよね。
全国の壁はかなり厚いと痛感しながら、試合終了後、相手の監督さんの所へ挨拶に行くと、監督さんが、
「いや、実はね、そちらの1年生の親戚がうちの高校で勤めてるんですけどね、先生、今回の大会は全国大会っておっしゃったんでしょ?それをうちの部員に伝えたらね、うちの部員がやる気になったんです。だから本気で試合させて貰いました。」
と。よくよく考えると、相手チームこの大会1日目のもう一つの特徴として、来ている部員全員が試合に出るというものがあるんですが、スコアシートを見返すと11人しか出ていませんでした。(当時は20数名いました)
どんなに力の差が歴然でも、やる気になっている相手に対し、全力でぶつかることで敬意を表する。
こんなことができる高校生のチーム、全国探してもなかなか無いですよ。
そして何より、それを聞いてやる気になる部員を育てた監督さん。
バスケットボールという競技の指導者の前に、立派な教育者だと思いました。
この監督さんの元で頑張る「彼ら」は、バスケットボールが上手くなるといったそれ以上の何かを得ていると思います。
勉強とスポーツは通ずるものがあります。
ブーストスペースに通ってくれているブースターには、勉強だけじゃない、それ以上のものを身につけて成長できるようサポートしていきます。
指導者ではなく、教育者を目指して。
過去から得た、ブーストスペースの使命です。